魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
「君が改めて王女だったんだってことを思い知ったよ」
あの後少し散歩をして客間に戻ったリロイは、今になって強行軍でここまで飛ばしてきたので疲れが出たティアラを気遣ってソファに座らせた。
そして隣に座ってそう話しかけると、ティアラは驚いた表情で黒髪を揺らして首を傾げる。
「え…どうして?」
「さっき毅然として魔王の提案を断ったでしょ。僕はいい案だと思ったんだけど…国民は僕たちの子供だって言われた時にはっとなったんだ。ああそうだな、僕たちが守って育てなくちゃって…」
「ああ…そのことね。私は今もレッドストーン王国の国民たちを想っているし、クリスタルパレスの国民も想っているわ。私たちに子供ができなくったって彼らが居てくれれば…。…そう思った方が気が楽でしょ?結果的には強がりを言っただけよ」
ティアラがちらっとリロイを盗み見すると、それを待っていたかのように目が合ってにこっと笑みを向けられた。
最近すれ違い生活が続いていたし、リロイに対しては結婚した今も恋を覚えたての少女のような気分になってしまうティアラは手を胸にあてて落ち着こうと心掛ける。
だが彼は…自分の勇者様だ。
憧れて憧れて……ようやく想いが叶った勇者様相手に落ち着こうなんて当然無理。
あたふたしそうになった時、ラスからの提案を思い出してしまったティアラはぷっと噴き出して、少し行儀悪く膝を抱えて座り直すとリロイの肩にもたれ掛った。
「ふふっ」
「ん?どうしたの?」
「さっきラスから“リロイを襲っちゃえ”ってけしかけられたの。私は時々コーを襲ってるよ、とも言われたわ。ラスったら…」
「へ、へえ……ラスが…」
少し赤くなったリロイが長年ラスを想っていたことは事実だし、ラスの夜の会話を聞いてしまって頬をかいているリロイの身体にぎゅっと抱き着くと、背中に腕が回ってきた。
「で…君が今から僕を襲うの?僕はじっとしてた方がいい?」
「えっ!?そ…そうね…あなたが…いいのなら…」
男らしい鎖骨や喉仏が目に入った。
少し開いた唇がとても綺麗で見入っていると、その唇が近付いてきて――重なる。
「ああごめん、じっとしてなきゃ…。ティアラ…忙しくしていても君をいつも想ってる。愛してるよ」
「ええ…私も…」
嵐のような激しさで、燃え上がる。
あの後少し散歩をして客間に戻ったリロイは、今になって強行軍でここまで飛ばしてきたので疲れが出たティアラを気遣ってソファに座らせた。
そして隣に座ってそう話しかけると、ティアラは驚いた表情で黒髪を揺らして首を傾げる。
「え…どうして?」
「さっき毅然として魔王の提案を断ったでしょ。僕はいい案だと思ったんだけど…国民は僕たちの子供だって言われた時にはっとなったんだ。ああそうだな、僕たちが守って育てなくちゃって…」
「ああ…そのことね。私は今もレッドストーン王国の国民たちを想っているし、クリスタルパレスの国民も想っているわ。私たちに子供ができなくったって彼らが居てくれれば…。…そう思った方が気が楽でしょ?結果的には強がりを言っただけよ」
ティアラがちらっとリロイを盗み見すると、それを待っていたかのように目が合ってにこっと笑みを向けられた。
最近すれ違い生活が続いていたし、リロイに対しては結婚した今も恋を覚えたての少女のような気分になってしまうティアラは手を胸にあてて落ち着こうと心掛ける。
だが彼は…自分の勇者様だ。
憧れて憧れて……ようやく想いが叶った勇者様相手に落ち着こうなんて当然無理。
あたふたしそうになった時、ラスからの提案を思い出してしまったティアラはぷっと噴き出して、少し行儀悪く膝を抱えて座り直すとリロイの肩にもたれ掛った。
「ふふっ」
「ん?どうしたの?」
「さっきラスから“リロイを襲っちゃえ”ってけしかけられたの。私は時々コーを襲ってるよ、とも言われたわ。ラスったら…」
「へ、へえ……ラスが…」
少し赤くなったリロイが長年ラスを想っていたことは事実だし、ラスの夜の会話を聞いてしまって頬をかいているリロイの身体にぎゅっと抱き着くと、背中に腕が回ってきた。
「で…君が今から僕を襲うの?僕はじっとしてた方がいい?」
「えっ!?そ…そうね…あなたが…いいのなら…」
男らしい鎖骨や喉仏が目に入った。
少し開いた唇がとても綺麗で見入っていると、その唇が近付いてきて――重なる。
「ああごめん、じっとしてなきゃ…。ティアラ…忙しくしていても君をいつも想ってる。愛してるよ」
「ええ…私も…」
嵐のような激しさで、燃え上がる。