魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
航海は晴天に恵まれた。
それもこれもコハクが魔法で天候を操っているからなのだが…3年前の旅もこうして気候を操って曇天にしていたことを思い浮かべたコハクは、ルゥをベビーカーに乗せて甲板を散歩しているラスから目を離さずに笑った。
「懐かしい…とまではいかねえな」
旅に出るまではラスの影だったので、こうして晴天の下では活動できなかったが、今は違う。
ラスが救ってくれて、ラスが影から解放してくれたこと――なかなか口には出せないが、本当はとてもとても感謝している。
「コー、あとどの位で着くの?船の旅もいいけど、早く泳ぎたいよ」
「あと2日ってとこかなー。俺も早くチビのみ、み、水着姿見たいなー。いろんなことしたいなー」
「わあ、ルゥ見て!風の妖精さんが輪になって踊ってる!」
見事に無視されて、輪になって踊っている水色の半透明の妖精に手を伸ばしているラスとルゥに唇を尖らせつつ――
甲板でわいわいしながらデッキブラシで一生懸命掃除をしている改造済みの魔物たちをからかっていると、ラスがルゥを抱っこして駆け寄ってきた。
「ねえコー、今日は私がお料理作ってあげる日だよ。何が食べたい?」
「チビが作るものならなんでも!ちなみに…1番食いたいものはチビなんだけど」
「だから私は食べ物じゃないってば。私なんか食べたって美味しくないよきっと」
「いやいや、美味過ぎてほっぺた落ちるって!現に病み付きになってるし。今夜もチビを食いたいなー」
まるで意味のわかっていないラスは、コハクがまた不気味な含み笑いを始めたので無視をすると、階下にあるキッチンに行って冷蔵庫を確認した。
魚も肉も野菜もあるが、レパートリーがまだまだ少ないので食材を生かせる料理は作れないかもしれないが――コハクに“美味しい”と言ってもらえるように頑張らなければ。
「チビ―、どこだー?」
「コー、ここだよ。美味しそうなお肉があるから…その…ステーキでもいい?あとサラダとスープと…簡単なご飯になっちゃうかも…」
「それで十分だって!焼き加減はどんなのでも食うし。楽しみだなー、早く夜になんねえかなー」
本当にわくわくして楽しみにしてもらえているのがわかる表情で無邪気に笑うコハクの頬に背伸びをしてキスをしたラスは、愛する旦那様のために精一杯頑張ろうと決めて、腕まくりをした。
それもこれもコハクが魔法で天候を操っているからなのだが…3年前の旅もこうして気候を操って曇天にしていたことを思い浮かべたコハクは、ルゥをベビーカーに乗せて甲板を散歩しているラスから目を離さずに笑った。
「懐かしい…とまではいかねえな」
旅に出るまではラスの影だったので、こうして晴天の下では活動できなかったが、今は違う。
ラスが救ってくれて、ラスが影から解放してくれたこと――なかなか口には出せないが、本当はとてもとても感謝している。
「コー、あとどの位で着くの?船の旅もいいけど、早く泳ぎたいよ」
「あと2日ってとこかなー。俺も早くチビのみ、み、水着姿見たいなー。いろんなことしたいなー」
「わあ、ルゥ見て!風の妖精さんが輪になって踊ってる!」
見事に無視されて、輪になって踊っている水色の半透明の妖精に手を伸ばしているラスとルゥに唇を尖らせつつ――
甲板でわいわいしながらデッキブラシで一生懸命掃除をしている改造済みの魔物たちをからかっていると、ラスがルゥを抱っこして駆け寄ってきた。
「ねえコー、今日は私がお料理作ってあげる日だよ。何が食べたい?」
「チビが作るものならなんでも!ちなみに…1番食いたいものはチビなんだけど」
「だから私は食べ物じゃないってば。私なんか食べたって美味しくないよきっと」
「いやいや、美味過ぎてほっぺた落ちるって!現に病み付きになってるし。今夜もチビを食いたいなー」
まるで意味のわかっていないラスは、コハクがまた不気味な含み笑いを始めたので無視をすると、階下にあるキッチンに行って冷蔵庫を確認した。
魚も肉も野菜もあるが、レパートリーがまだまだ少ないので食材を生かせる料理は作れないかもしれないが――コハクに“美味しい”と言ってもらえるように頑張らなければ。
「チビ―、どこだー?」
「コー、ここだよ。美味しそうなお肉があるから…その…ステーキでもいい?あとサラダとスープと…簡単なご飯になっちゃうかも…」
「それで十分だって!焼き加減はどんなのでも食うし。楽しみだなー、早く夜になんねえかなー」
本当にわくわくして楽しみにしてもらえているのがわかる表情で無邪気に笑うコハクの頬に背伸びをしてキスをしたラスは、愛する旦那様のために精一杯頑張ろうと決めて、腕まくりをした。