魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
妖精の森の入り口は、大木の幹の間にある。
コハクが掌を翳して何か呟くと、めきめきと割れるような音がしてぽっかりと空洞が開いた。
「よし、行くぞー。今回は荒らされてねえみたいだな」
「前は悪い人たちが居たもんね。デス大丈夫?手を繋いでてあげようか?」
「…………うん」
いつもより返事の間を開けてラスの手を骨だけの指できゅっと握ると、早速コハクから背中に蹴りを食らった。
「お前なに勝手に俺の天使ちゃんに触ってんだ?ああ?やるかおい」
「はじめての場所に来たんだから怖いに決まってるよ。ね、ここは怖くないから大丈夫だよ」
ラスがデスを庇ったために余計にへそを曲げたコハクの頬を抱っこしていたルゥがぺちぺち叩いてきた。
まるで慰めてくれているようで、なんだか涙ぐんでしまったコハクはラスたちを追い抜いてさっさと妖精の城を目指す。
「コー、待って。コー?ちょっと待ってってば」
「デスと一緒に後で来ればいいだろ。俺は女王と話して来るからお前らはゆっくり来ればー」
「コー?」
ラスが脚を止めて首を傾げると、リロイがくすくす笑いながらラスの肩をぽんと叩いた。
「やきもちだよ。昔からやきもち焼きな男だったけど、結婚しても変わらないんだね」
「やきもち?コーが?なんで?」
「後で魔王に優しくしてあげるときっとすぐ機嫌が良くなるから気にしない方がいいわ。さあ行きましょう」
あちこちで半透明の小さな妖精や、人と同じサイズの妖精たちがこちらの様子を窺っていた。
彼女たちは以前妖精の森の危機を救ってくれたコハクを知っているので攻撃されることはなかったが、森を焼いたことに関してはかなり根に持っている。
「お前は以前私の時のように女王に感情を奪われた。用心するに越したことはない」
「うん、わかった」
…本当にわかっているのかわかっていないのか…
にこにこしているラスをさりげなく守るような陣形で妖精の城の扉を開けて中に入ると、そこには今回の旅の目的となった人物が笑顔で待っていた。
コハクが掌を翳して何か呟くと、めきめきと割れるような音がしてぽっかりと空洞が開いた。
「よし、行くぞー。今回は荒らされてねえみたいだな」
「前は悪い人たちが居たもんね。デス大丈夫?手を繋いでてあげようか?」
「…………うん」
いつもより返事の間を開けてラスの手を骨だけの指できゅっと握ると、早速コハクから背中に蹴りを食らった。
「お前なに勝手に俺の天使ちゃんに触ってんだ?ああ?やるかおい」
「はじめての場所に来たんだから怖いに決まってるよ。ね、ここは怖くないから大丈夫だよ」
ラスがデスを庇ったために余計にへそを曲げたコハクの頬を抱っこしていたルゥがぺちぺち叩いてきた。
まるで慰めてくれているようで、なんだか涙ぐんでしまったコハクはラスたちを追い抜いてさっさと妖精の城を目指す。
「コー、待って。コー?ちょっと待ってってば」
「デスと一緒に後で来ればいいだろ。俺は女王と話して来るからお前らはゆっくり来ればー」
「コー?」
ラスが脚を止めて首を傾げると、リロイがくすくす笑いながらラスの肩をぽんと叩いた。
「やきもちだよ。昔からやきもち焼きな男だったけど、結婚しても変わらないんだね」
「やきもち?コーが?なんで?」
「後で魔王に優しくしてあげるときっとすぐ機嫌が良くなるから気にしない方がいいわ。さあ行きましょう」
あちこちで半透明の小さな妖精や、人と同じサイズの妖精たちがこちらの様子を窺っていた。
彼女たちは以前妖精の森の危機を救ってくれたコハクを知っているので攻撃されることはなかったが、森を焼いたことに関してはかなり根に持っている。
「お前は以前私の時のように女王に感情を奪われた。用心するに越したことはない」
「うん、わかった」
…本当にわかっているのかわかっていないのか…
にこにこしているラスをさりげなく守るような陣形で妖精の城の扉を開けて中に入ると、そこには今回の旅の目的となった人物が笑顔で待っていた。