魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
「お前はやっぱり将来すげえ男になる!パパは感動した!立派な勇者様になれるぞー!」
「あーうー?ぱー?」
城を出たコハクたちは、待ってくれていたベルルと一緒に泉の沸いている森の奥へと向かいながらルゥに高い高いをしてやっていた。
――水晶を手に握って産まれて来たからには、この子には絶対に何か秘めた力を持っているはず――
だがまだこんな小さな赤ちゃんに何かできるわけでもないとたかをくくっていたコハクは、無意識にもラスを守らんとしたルゥの男気に感動していた。
「ルゥちゃんの目の色が急に変わったからびっくりしちゃった。怖いことはしちゃ駄目だよ?」
「あー。まーまー」
にこにこ笑って手を伸ばしてきたルゥを抱っこして泉の前に座ると、ベルルが小さな女の子の赤ちゃんをコハクの腕に抱かせた。
「どうですか、私に似て可愛いでしょ?」
「ん、そうだな可愛いな。将来ルゥの遊び相手にしてやってもいいぜ」
「いやですよ、ルゥ様はコハク様に似て女たらしになりそうだから弄ばれて捨てられるかも」
「ま、否定はしねえけどな。…あっ、チビ!こらっ、勝手に離れちゃいけません!」
ちょっとコハクが目を離した隙にラスがリスを追いかけてその場から離れて行ってしまうと、コハクも赤ちゃんをベルルに返してラスを追いかけていく。
ベルルはそんなコハクに相変わらずだなと思いつつ、お腹が膨らんでいるグラースに声をかけた。
「ここの泉の水は聖なる水なの。これ飲むと力が湧いてきて身体にいいらしいの。飲んでいくといいわ」
「ありがたい。しかしベビーラッシュだな、お前たちの所もそろそろじゃないか?」
金色の長い髪をかき上げて両手で泉の水を掬って飲んでいるグラースが何の気なしに問うと、リロイは隣に座っているティアラの手をきゅっと握って笑った。
「僕たちは僕たちのペースで歩いて行きたいし焦りたくないからいいんだ。でも妖精の子供にドラゴンとの間の子供に、魔王とラスの子供かあ…。とてもじゃないけど平穏な生活は送れそうにない気がするなあ」
「この子たちにはこれからこの子たちだけの物語が始まる。そして私たちの物語も終わっていない。お前たちもこの水を飲め。良いと言われているものにはあやかった方がいい」
子供たちの話に花が咲いている間、コハクはラスを探すのに必死。
「あーうー?ぱー?」
城を出たコハクたちは、待ってくれていたベルルと一緒に泉の沸いている森の奥へと向かいながらルゥに高い高いをしてやっていた。
――水晶を手に握って産まれて来たからには、この子には絶対に何か秘めた力を持っているはず――
だがまだこんな小さな赤ちゃんに何かできるわけでもないとたかをくくっていたコハクは、無意識にもラスを守らんとしたルゥの男気に感動していた。
「ルゥちゃんの目の色が急に変わったからびっくりしちゃった。怖いことはしちゃ駄目だよ?」
「あー。まーまー」
にこにこ笑って手を伸ばしてきたルゥを抱っこして泉の前に座ると、ベルルが小さな女の子の赤ちゃんをコハクの腕に抱かせた。
「どうですか、私に似て可愛いでしょ?」
「ん、そうだな可愛いな。将来ルゥの遊び相手にしてやってもいいぜ」
「いやですよ、ルゥ様はコハク様に似て女たらしになりそうだから弄ばれて捨てられるかも」
「ま、否定はしねえけどな。…あっ、チビ!こらっ、勝手に離れちゃいけません!」
ちょっとコハクが目を離した隙にラスがリスを追いかけてその場から離れて行ってしまうと、コハクも赤ちゃんをベルルに返してラスを追いかけていく。
ベルルはそんなコハクに相変わらずだなと思いつつ、お腹が膨らんでいるグラースに声をかけた。
「ここの泉の水は聖なる水なの。これ飲むと力が湧いてきて身体にいいらしいの。飲んでいくといいわ」
「ありがたい。しかしベビーラッシュだな、お前たちの所もそろそろじゃないか?」
金色の長い髪をかき上げて両手で泉の水を掬って飲んでいるグラースが何の気なしに問うと、リロイは隣に座っているティアラの手をきゅっと握って笑った。
「僕たちは僕たちのペースで歩いて行きたいし焦りたくないからいいんだ。でも妖精の子供にドラゴンとの間の子供に、魔王とラスの子供かあ…。とてもじゃないけど平穏な生活は送れそうにない気がするなあ」
「この子たちにはこれからこの子たちだけの物語が始まる。そして私たちの物語も終わっていない。お前たちもこの水を飲め。良いと言われているものにはあやかった方がいい」
子供たちの話に花が咲いている間、コハクはラスを探すのに必死。