魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
グリーンリバーに戻ったラスは、その後コハクが驚くほどに出かけることなくじっとしていた。
大抵は自室に居るか、屋上に居るか、庭に居るかのいずれかだ。
街へ出る時はちゃんと目的を決めて、コハクかデスかどちらかと出かける。
少し大人びた行動を取るようになったラスに感慨深くなったコハクは、ソファに座ってのんびり紅茶を飲んでいるラスの髪を感慨深げに撫でた。
「ここに戻って来てから結局つわりもないまんまだったよな。もう安定期に入ったろ?ほんとにつわりはなかったのか?俺が心配するから黙ってただけなんじゃ…」
「ううん、本当につわりはなかったの。ちょっと気分悪い時があったけど、そういう時はルゥちゃんが来てくれて水晶を貸してくれたの。そしたら体調が良くなったんだよ」
絨毯の上に座って木材でできたおもちゃで遊んでいたルゥが名を呼ばれて顔を上げると、へらっと笑った。
首には肌身離さず水晶の塊を吊るしたネックレスが下げられてあり、存在を主張するようにきらりと光った。
「へえ…スプーンを持って生まれて来ると将来食うものに困らないっていう伝説があるけど、うちの子の場合は水晶かー。この野郎、お前は絶対大成するぞー!」
「あぷぷー!きゃぅー!」
高い高いをされて声を上げて喜んでいるルゥに頬を緩めていると、エプロン姿の改造済みの魔物が部屋に駆け込んできた。
「魔王様!大変です!」
「なんだよ家族団らんの時間を邪魔すんなよな」
「申し訳ありません!ですが、グラース様が産気づかれて…」
「えっ、グラースが!?コー、大変!さ、産婆さん!あとドラちゃんも呼んでこなくちゃ!」
ラスが我がことのようにわたわたとし始めたので、コハクがラスの腕を引いて引き止めて笑った。
「大丈夫だって、ドラならもうグラースの傍にいるはずだぜ。あいつ最近そわそわしてたからな」
「そ、そうなの!?知らなかった…」
「はじめて人間との間に子供作ったらしいし。あいつだって興味あるだろうし、それなりにグラースに愛情あるんじゃね?チビ、行ってみようぜ」
ラスが転ばないようにルゥもろとも抱っこして部屋を出たコハクの瞳は、好奇心できらきら光っていた。
大抵は自室に居るか、屋上に居るか、庭に居るかのいずれかだ。
街へ出る時はちゃんと目的を決めて、コハクかデスかどちらかと出かける。
少し大人びた行動を取るようになったラスに感慨深くなったコハクは、ソファに座ってのんびり紅茶を飲んでいるラスの髪を感慨深げに撫でた。
「ここに戻って来てから結局つわりもないまんまだったよな。もう安定期に入ったろ?ほんとにつわりはなかったのか?俺が心配するから黙ってただけなんじゃ…」
「ううん、本当につわりはなかったの。ちょっと気分悪い時があったけど、そういう時はルゥちゃんが来てくれて水晶を貸してくれたの。そしたら体調が良くなったんだよ」
絨毯の上に座って木材でできたおもちゃで遊んでいたルゥが名を呼ばれて顔を上げると、へらっと笑った。
首には肌身離さず水晶の塊を吊るしたネックレスが下げられてあり、存在を主張するようにきらりと光った。
「へえ…スプーンを持って生まれて来ると将来食うものに困らないっていう伝説があるけど、うちの子の場合は水晶かー。この野郎、お前は絶対大成するぞー!」
「あぷぷー!きゃぅー!」
高い高いをされて声を上げて喜んでいるルゥに頬を緩めていると、エプロン姿の改造済みの魔物が部屋に駆け込んできた。
「魔王様!大変です!」
「なんだよ家族団らんの時間を邪魔すんなよな」
「申し訳ありません!ですが、グラース様が産気づかれて…」
「えっ、グラースが!?コー、大変!さ、産婆さん!あとドラちゃんも呼んでこなくちゃ!」
ラスが我がことのようにわたわたとし始めたので、コハクがラスの腕を引いて引き止めて笑った。
「大丈夫だって、ドラならもうグラースの傍にいるはずだぜ。あいつ最近そわそわしてたからな」
「そ、そうなの!?知らなかった…」
「はじめて人間との間に子供作ったらしいし。あいつだって興味あるだろうし、それなりにグラースに愛情あるんじゃね?チビ、行ってみようぜ」
ラスが転ばないようにルゥもろとも抱っこして部屋を出たコハクの瞳は、好奇心できらきら光っていた。