魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
これまたグラースの力みもすごかった。
全く力んでいるようには見えないのだが、大きく息を吸って力を込めると、つるんと胎内から出てきたらしく産婆が驚いてのけぞったほどだ。
「おめでとうございます、男の子ですよ!」
「ああ疲れた…。ありがとう」
「男の子なのっ?グラースおめでとうっ、赤ちゃん産まれてきたよ!」
へその緒を切った産婆がグラースの腕に赤ちゃんを抱かせる。
ドラちゃんが言っていたように角も尻尾も生えてはいない普通の赤ちゃんに見えたが、コハクの目にはそう映っていなかった。
おぎゃあおぎゃあと大きな声を上げて泣く真っ赤な赤ちゃんはとても元気が良く、ラスには本当にただ普通の赤ちゃんに見えたが…
「こりゃまた…本当にドラゴンとの間の子供だな」
「え?急にどうしたの?」
「魔力を持ってる。将来魔法を使えるようになるかも」
「わあっ、すごい!ルゥちゃん、お友達が産まれてきたよ。ご挨拶する?」
「あぷう?」
絨毯の上を転げ回っていたルゥを抱っこして生まれたての赤ちゃんを見せると、ルゥはじっと見つめた後小さな手を伸ばして、もっと小さな手に触れた。
すると赤ちゃんがルゥの小指をきゅっと握り、ぴたりと泣き止んで静かになったので一同、仰天。
「おおーっ、ルゥ、お前今なんかしたのか?」
「ルゥちゃん仲良くなれそうだね、よかったねっ」
「これよりお湯で身体を拭いてお乳を飲ませてあげましょうか」
産婆に促されると、ラスはルゥをベッドから下ろしてコハクの背中を押してドアへと向かった。
「グラースまた後で来るからっ。ドラちゃん、グラース、おめでとうっ」
ラスたちが部屋から出て行くと、それまでほぼ無言だったドラちゃんが我が子をゆっくり抱っこする。
はじめての子供ではないが、我が子は何人いても嬉しいし可愛いと思っているが、それを態度に出すことはない。
「…可愛いな」
「強い男に育てる。お前の加勢は特に必要ないが、遊び相手にしてやってもいいぞ」
「俺の子だぞ。俺が強く育てる」
「いや私が」
妙な痴話げんか、勃発。
全く力んでいるようには見えないのだが、大きく息を吸って力を込めると、つるんと胎内から出てきたらしく産婆が驚いてのけぞったほどだ。
「おめでとうございます、男の子ですよ!」
「ああ疲れた…。ありがとう」
「男の子なのっ?グラースおめでとうっ、赤ちゃん産まれてきたよ!」
へその緒を切った産婆がグラースの腕に赤ちゃんを抱かせる。
ドラちゃんが言っていたように角も尻尾も生えてはいない普通の赤ちゃんに見えたが、コハクの目にはそう映っていなかった。
おぎゃあおぎゃあと大きな声を上げて泣く真っ赤な赤ちゃんはとても元気が良く、ラスには本当にただ普通の赤ちゃんに見えたが…
「こりゃまた…本当にドラゴンとの間の子供だな」
「え?急にどうしたの?」
「魔力を持ってる。将来魔法を使えるようになるかも」
「わあっ、すごい!ルゥちゃん、お友達が産まれてきたよ。ご挨拶する?」
「あぷう?」
絨毯の上を転げ回っていたルゥを抱っこして生まれたての赤ちゃんを見せると、ルゥはじっと見つめた後小さな手を伸ばして、もっと小さな手に触れた。
すると赤ちゃんがルゥの小指をきゅっと握り、ぴたりと泣き止んで静かになったので一同、仰天。
「おおーっ、ルゥ、お前今なんかしたのか?」
「ルゥちゃん仲良くなれそうだね、よかったねっ」
「これよりお湯で身体を拭いてお乳を飲ませてあげましょうか」
産婆に促されると、ラスはルゥをベッドから下ろしてコハクの背中を押してドアへと向かった。
「グラースまた後で来るからっ。ドラちゃん、グラース、おめでとうっ」
ラスたちが部屋から出て行くと、それまでほぼ無言だったドラちゃんが我が子をゆっくり抱っこする。
はじめての子供ではないが、我が子は何人いても嬉しいし可愛いと思っているが、それを態度に出すことはない。
「…可愛いな」
「強い男に育てる。お前の加勢は特に必要ないが、遊び相手にしてやってもいいぞ」
「俺の子だぞ。俺が強く育てる」
「いや私が」
妙な痴話げんか、勃発。