魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
少し焦げ目はついていたが、それも愛嬌でラスらしくてさらに美味しく頂いたコハクは、ルゥの真似をして口を開けてデザートをねだった。


「もうコーったら赤ちゃんみたい。はい、あーん」


「んまっ。チビ、料理の腕が上がったんじゃね?チビがデザート作れるとかこの前まで想像できなかったんだけど」


「だからグラースに習って練習したんだってば。私だってなんにもできないまんまじゃないんだから」


「いーや、なんにもできないまんまでも良かった!俺に依存して、俺が居なきゃ生きてけないチビでいてほしかったんだけど…今のチビもイイ!不器用な感じがイイ!」


結局はどんなラスでもコーフンできる色ぼけ魔王は、ゼリーを口に含むとそのまま口移しでラスに与えて、ついでに舌も絡めて身を乗り出した。

反対にラスは苦しそうにして反り返ってキスを避けようとしたのだが、ぐいぐい迫ってくるコハクからは逃げられない。


「ん、んっ、んーーーーっ!」


「こら逃げんなって。ハネムーンベイビー作ろうぜ。ルゥの兄弟作ってやりたいだろ?こいつ絶対いいお兄ちゃんになるぜ。今度こそ女の子!」


「こ、コーのエッチ!ルゥはまだ1歳にもなってないのにそんな…駄目っ!」


「いいじゃんか!年子作ろうぜ!ルゥ、もうねんねするよな?パパとママのいちゃいちゃタイムの邪魔をしないよな?」


「あぶぶぶ」


ラスのお乳も吸って満腹なルゥはコハクの願いを叶えるべくあくびをして眠ってしまい、後片付けを改造済みの魔物たちに任せてラスを抱っこすると、早速階下に向かって歩き出す。

恥ずかしそうに顔を伏せているラスに萌えに萌えて無意識に急ぎ足になりつつ、ラスの頬をぺろんと舐めた。


「くすぐたいってば。ねえコー、ご飯美味しかった?また作ってあげようか?」


「マジでか、お願いします!じゃあ俺はこれからデザートを美味しく頂こうかなー」


「デザート?さっきオレンジのゼリー食べたでしょ?」


「ちがーう。わかんなくていいって。とりあえず一緒に風呂入って、海底見ながらワイン飲んで、そんで…お楽しみだー!」


子供のようにはしゃぐコハクが可愛くてついぷっと笑ったラスは、少し離れていた分沢山コハクに甘えて、甘やかしてあげようと思っていたので、コハクの言う通りにさせてあげようと思った。


ルゥに妹か弟を。

その願いは、一緒。
< 26 / 286 >

この作品をシェア

pagetop