魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
ラスは3児の母になったが、相変わらず純真無垢で無邪気なままだった。
コハクが少し目を離した隙に居なくなってしまうことが多く、そういう時はデスが必ずくっついて行く。
エンジェルはそのことに気付いていて、コハクに構ってもらっていた隙にラスとデスが消えていることに気付いてコハクの膝に座って見上げた。
「マーマはどこに行ったの?黒いのも」
「あー、散歩だろ。デスがついてってるからまあ大丈夫だろうけど」
いつもならラスが頬化の男と話しているだけでぷんすかになるコハクは、デスには甘い。
赤ちゃんの頃からデスにくっついていたエンジェルは、ふたりが一緒に居るとなんだかそわそわしてしまうので、膝から下りてシエルの手を握った。
「マーマの所に連れて行って」
「うん」
すっかり世話役になってしまったシエルはエンジェルの手を握って立ち上がる。
ルゥとリィも立ち上がりかけたが、シエルが無言で手で制したので座り直してシエルに任せた。
「早く戻って来るんだぞ。おいシエル、エンジェルに手ぇ出したらぶっ殺すからな」
「エンジェル行こう」
シエルに無視されて口を開きかけたが今度はグラースの冷たい視線にさらされて閉口すると、ふたりは手を繋いで森の奥へ向かう。
「ねえ、マーマはパーパのものなのにどうして黒いのと一緒に居るの?」
「わからない」
率直に返されて自分で必死に考えてみたが答えを見いだせなかったエンジェルは、考えるのをやめてラスとデスの姿を探し求めてさまよう。
本来なら木に登っているリスや動物たちを見て歓声を上げるのだが、今は状況が違った。
「あ、マーマ」
ラスとデスの姿を発見したが、ふたりは背を丸めて何かを覗き込んでいるようだった。
そして…
デスはラスの手をしっかりと握っていた。
「……シエル…」
「うん」
「心臓が痛くなってきちゃった…」
理由がわからない。
病気になってしまったのかと不安になったエンジェルがシエルに抱き着くと、シエルはエンジェルを無言で抱っこしてその場から立ち去った。
コハクが少し目を離した隙に居なくなってしまうことが多く、そういう時はデスが必ずくっついて行く。
エンジェルはそのことに気付いていて、コハクに構ってもらっていた隙にラスとデスが消えていることに気付いてコハクの膝に座って見上げた。
「マーマはどこに行ったの?黒いのも」
「あー、散歩だろ。デスがついてってるからまあ大丈夫だろうけど」
いつもならラスが頬化の男と話しているだけでぷんすかになるコハクは、デスには甘い。
赤ちゃんの頃からデスにくっついていたエンジェルは、ふたりが一緒に居るとなんだかそわそわしてしまうので、膝から下りてシエルの手を握った。
「マーマの所に連れて行って」
「うん」
すっかり世話役になってしまったシエルはエンジェルの手を握って立ち上がる。
ルゥとリィも立ち上がりかけたが、シエルが無言で手で制したので座り直してシエルに任せた。
「早く戻って来るんだぞ。おいシエル、エンジェルに手ぇ出したらぶっ殺すからな」
「エンジェル行こう」
シエルに無視されて口を開きかけたが今度はグラースの冷たい視線にさらされて閉口すると、ふたりは手を繋いで森の奥へ向かう。
「ねえ、マーマはパーパのものなのにどうして黒いのと一緒に居るの?」
「わからない」
率直に返されて自分で必死に考えてみたが答えを見いだせなかったエンジェルは、考えるのをやめてラスとデスの姿を探し求めてさまよう。
本来なら木に登っているリスや動物たちを見て歓声を上げるのだが、今は状況が違った。
「あ、マーマ」
ラスとデスの姿を発見したが、ふたりは背を丸めて何かを覗き込んでいるようだった。
そして…
デスはラスの手をしっかりと握っていた。
「……シエル…」
「うん」
「心臓が痛くなってきちゃった…」
理由がわからない。
病気になってしまったのかと不安になったエンジェルがシエルに抱き着くと、シエルはエンジェルを無言で抱っこしてその場から立ち去った。