魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
ラスが用意してくれたのは膝上までの黒い海パンで、大急ぎで着替えたコハクはラスを追って未だかつてない疾走を見せた。
「チビ―っ」
「きゃあーっ!つめたーい!」
寄せては引いてゆく波を追いかけたり逃げたり…
ぷるんぷるんのラスが走る度にさらにぷるんぷるんしていて、早速爆発寸前な色ぼけ魔王は、ずっと呪文を唱え続けていた。
「落ち着け落ち着け、落ち着け暴れん坊!鎮まれ…鎮まりたまへ!」
「コー?なにぶつぶつ言ってるの?」
「荒ぶる俺の魂よ、鎮まりたま……えっ!?い、いや何も言ってねえし!」
「追いかけっこしようよ、負けないんだからっ」
「よーし、じゃあ俺が勝ったらチューな!」
…ルゥを抱っこしているラスが完全に不利な状態だったのだが、コハクは敢えて砂に脚を取られてつまづいたり転んだりしてラスを笑わせて喜ばせると、ビキニ姿のラスにぽうっとなっていた。
相変わらずラスに恋した少年のままなコハクは、ルゥが重たくて疲れて足取りが悪くなったラスに追いつくと、ルゥを奪い取ってビーチパラソルの下に置いていた木製の揺り籠に寝かせて口元に人差し指をあてた。
「しーっ。パパとママはこれからいちゃいちゃするから、静かにしてるんだぞ」
「あいぃっ」
ふうふう息切れを起こして砂浜で膝を抱えて座っているラスの元に戻ったコハクは、麦わら帽子をラスの頭に被せてやると、ラスを膝に抱いてキスを迫った。
だがラスは顔が赤く、熱射病にやられたのかと一瞬不安がよぎったが――どうもそうではないらしく、ぐいっと肩を押された。
「こ、コー、ちょっと離れて」
「やだねー。なんでだよ、どうした?」
しばらくもじもじしていたが、じっと待っていると、ちらちらと腕や胸を見られていることに気付き、にやり。
「あー、わかったぞ。俺の裸見るのが恥ずかしいんだろ」
「だって…こんな明るい場所で見たことないし…。コーはいつも薄着だけど、ちょっと見慣れないから恥ずかしいだけ」
「俺だっていっつもレースもっさりのドレス姿ばっかしか見てねえから今俺の暴れん坊が暴れそうに…」
「え?暴れん坊ってどういう意味?」
「別にー。ほらチビ、キース!キース!!キース!!!」
コハクだけのキスコールにようやく緊張が解れたラスがちゅっと唇にキスをしてくると、物足りなかったコハクはラスの頬をぺろぺろと舐めて抱っこしたまま立ち上がった。
「よーし、泳ぐぞー!俺が泳ぎ方教えてやるよ」
「うん、わかった!」
海に突撃。
「チビ―っ」
「きゃあーっ!つめたーい!」
寄せては引いてゆく波を追いかけたり逃げたり…
ぷるんぷるんのラスが走る度にさらにぷるんぷるんしていて、早速爆発寸前な色ぼけ魔王は、ずっと呪文を唱え続けていた。
「落ち着け落ち着け、落ち着け暴れん坊!鎮まれ…鎮まりたまへ!」
「コー?なにぶつぶつ言ってるの?」
「荒ぶる俺の魂よ、鎮まりたま……えっ!?い、いや何も言ってねえし!」
「追いかけっこしようよ、負けないんだからっ」
「よーし、じゃあ俺が勝ったらチューな!」
…ルゥを抱っこしているラスが完全に不利な状態だったのだが、コハクは敢えて砂に脚を取られてつまづいたり転んだりしてラスを笑わせて喜ばせると、ビキニ姿のラスにぽうっとなっていた。
相変わらずラスに恋した少年のままなコハクは、ルゥが重たくて疲れて足取りが悪くなったラスに追いつくと、ルゥを奪い取ってビーチパラソルの下に置いていた木製の揺り籠に寝かせて口元に人差し指をあてた。
「しーっ。パパとママはこれからいちゃいちゃするから、静かにしてるんだぞ」
「あいぃっ」
ふうふう息切れを起こして砂浜で膝を抱えて座っているラスの元に戻ったコハクは、麦わら帽子をラスの頭に被せてやると、ラスを膝に抱いてキスを迫った。
だがラスは顔が赤く、熱射病にやられたのかと一瞬不安がよぎったが――どうもそうではないらしく、ぐいっと肩を押された。
「こ、コー、ちょっと離れて」
「やだねー。なんでだよ、どうした?」
しばらくもじもじしていたが、じっと待っていると、ちらちらと腕や胸を見られていることに気付き、にやり。
「あー、わかったぞ。俺の裸見るのが恥ずかしいんだろ」
「だって…こんな明るい場所で見たことないし…。コーはいつも薄着だけど、ちょっと見慣れないから恥ずかしいだけ」
「俺だっていっつもレースもっさりのドレス姿ばっかしか見てねえから今俺の暴れん坊が暴れそうに…」
「え?暴れん坊ってどういう意味?」
「別にー。ほらチビ、キース!キース!!キース!!!」
コハクだけのキスコールにようやく緊張が解れたラスがちゅっと唇にキスをしてくると、物足りなかったコハクはラスの頬をぺろぺろと舐めて抱っこしたまま立ち上がった。
「よーし、泳ぐぞー!俺が泳ぎ方教えてやるよ」
「うん、わかった!」
海に突撃。