魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
準備運動はもう十分済ませたので、ラスと手を繋いでゆっくり海へ入ると、城の大きな風呂以外を体験したことのないラスは、どこまでも広くて大きな風呂に入った気分になって、歓声を上げた。
「きゃーっ、コー、冷たくて気持ちいいっ!それにしょっぱい!海がしょっぱいのは知ってたけど、すっごくしょっぱい!」
「泳ぎ方教えてやっから、顔を浸けるとこから始めようぜ。ほら、やってみろよ」
「う、うん、わかった!」
ラスが恐る恐る海水に顔を浸す。
ラスに教えてやれることがってわくわくうきうきしているコハクは、傍に浮かばせていた浮き輪を砂浜に向かって放り投げると、ラスの両手をしっかり握ってゆっくり歩いた。
…意外と肺活量があるのか、ラスが顔を上げないのでだんだん不安になってきて抱き起こすと、ラスははあはあ息をしながらきょとんとしていた。
「コー、もう終わり?」
「溺れたかと思った!意外と肺活量あんのな。新発見!」
「すっごく楽しい!コー、次はどうすればいいの?」
「次はバタ足かなー。手を繋いで手やるから脚を交互にばたばた動かしてみろよ」
普段は飲み込みの悪いラスだが、泳ぎ方は意外と上手で、バタ足をすんなりマスターすると、海水に顔を浸して泳いでいる魚たちを見て大興奮。
コハクはラスの隣を泳ぎつつ、ビーチパラソルの下のルゥにも注意を払いつつ、うにうに動いているのを確認して顔を上げたラスの長い金の髪をバレッタで留めてやった。
「海がすっごく綺麗!もっと泳ぎたい!でもコー…ルゥが心配だからもうやめようかな…」
「えーっ!?まだ全然俺と遊んでねえじゃん!ルゥが心配なのか?ちぇっ、仕方ねえな、子守りを呼ぶか」
「え?ドラちゃん?ワンちゃん?」
「ちがーう。あいつだよ、あ、い、つ!」
濡れた少し長い前髪をかき上げながら海から上がったコハクは、強制的に召喚できる魔法陣を指で砂浜に描くと、何かを小さく呟いた。
ラスは浮き輪に掴まってそれを見ていたのだが、ぱあっと魔法陣が白く光ると――そこから真っ黒なフードを被った男が生え出て来た。
「あ、デスだ!」
「……俺……冷蔵庫の…前に…居たのに…」
「また食ってたのかお前は!ちょっとルゥの子守りしてくれよ。チビと遊べねえからさ」
「デスだ!なんか久しぶりだね!元気にしてたっ?」
ラスが小走りに駆けてくる。
水着姿のラスを見たデスは――口を半開きに開けて見惚れてしまっていた。
「きゃーっ、コー、冷たくて気持ちいいっ!それにしょっぱい!海がしょっぱいのは知ってたけど、すっごくしょっぱい!」
「泳ぎ方教えてやっから、顔を浸けるとこから始めようぜ。ほら、やってみろよ」
「う、うん、わかった!」
ラスが恐る恐る海水に顔を浸す。
ラスに教えてやれることがってわくわくうきうきしているコハクは、傍に浮かばせていた浮き輪を砂浜に向かって放り投げると、ラスの両手をしっかり握ってゆっくり歩いた。
…意外と肺活量があるのか、ラスが顔を上げないのでだんだん不安になってきて抱き起こすと、ラスははあはあ息をしながらきょとんとしていた。
「コー、もう終わり?」
「溺れたかと思った!意外と肺活量あんのな。新発見!」
「すっごく楽しい!コー、次はどうすればいいの?」
「次はバタ足かなー。手を繋いで手やるから脚を交互にばたばた動かしてみろよ」
普段は飲み込みの悪いラスだが、泳ぎ方は意外と上手で、バタ足をすんなりマスターすると、海水に顔を浸して泳いでいる魚たちを見て大興奮。
コハクはラスの隣を泳ぎつつ、ビーチパラソルの下のルゥにも注意を払いつつ、うにうに動いているのを確認して顔を上げたラスの長い金の髪をバレッタで留めてやった。
「海がすっごく綺麗!もっと泳ぎたい!でもコー…ルゥが心配だからもうやめようかな…」
「えーっ!?まだ全然俺と遊んでねえじゃん!ルゥが心配なのか?ちぇっ、仕方ねえな、子守りを呼ぶか」
「え?ドラちゃん?ワンちゃん?」
「ちがーう。あいつだよ、あ、い、つ!」
濡れた少し長い前髪をかき上げながら海から上がったコハクは、強制的に召喚できる魔法陣を指で砂浜に描くと、何かを小さく呟いた。
ラスは浮き輪に掴まってそれを見ていたのだが、ぱあっと魔法陣が白く光ると――そこから真っ黒なフードを被った男が生え出て来た。
「あ、デスだ!」
「……俺……冷蔵庫の…前に…居たのに…」
「また食ってたのかお前は!ちょっとルゥの子守りしてくれよ。チビと遊べねえからさ」
「デスだ!なんか久しぶりだね!元気にしてたっ?」
ラスが小走りに駆けてくる。
水着姿のラスを見たデスは――口を半開きに開けて見惚れてしまっていた。