魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
翌日海岸から綺麗な色の貝殻を拾い、それを真剣な顔で便箋の四隅に張り付けているラスを視界に入れつつ、コハクはキッチンでオムライスを作りながら、密かに笑っていた。
あの便箋…もう何枚目の失敗だろうか。
自分の思うようにいかないのか、時々金色の髪をくしゃくしゃにかき混ぜながら叫んでいるラスを愛しい眼差しで見守っていた。
…あれを手伝ってはいけないのだ。
これから生まれてくる弟か妹のために、ラスが無い知恵を絞って必死になって考えたアイディアなのだから、納得がいくまで見守ろうと決めていた。
「チビ、先にルゥにオートミール食わせるからな。あとやわらかくしたオムライスも」
「うん、ごめんねコー、もうちょっとでできそうだから…」
「気にしなくっていいって。ベビー、パパと一緒にご飯食べような」
時々ルゥのことをベビーと呼ぶコハクは、ルゥを膝に乗せて、ものすごく美味しそうなルゥ用の特製オムライスを口に入れてやると、ルゥが嬉しそうにへらっと笑った。
その芳しい匂いに下げっぱなしだった顔を上げたラスは、宝石のようにグリーンピースが散りばめられたオムライスを見てお腹を鳴らし、コハクを笑わせた。
「ちょっと休憩しろよ。せっかく作ったんだから食ってもらいたいなー」
「うん、わかった。美味しそうだね、ルゥちゃん美味しい?」
「あぶぅ」
もっと、というように口を開くルゥにせっせとオムライスを食べさせるコハクは、もう完璧な主婦…いや、主夫と言える。
何にしても器用でそつなくこなしてくれるので、今までどれだけ助かったことか――
ラスはとても美味しいオムライスを口に運んで顔を輝かせると、スプーンで掬ってコハクの口元に持って行った。
「私が作ったんじゃないけど、はいどうぞ。あーんして」
「あーん!ん、美味い美味い。チビに食わせてもらうともっと美味い!」
「あともうちょっとでできるから。これは成功しそうだよ、見て見て」
白や赤、淡いピンクの貝殻を散りばめた便箋には、“生まれてきてくれてありがとう”と可愛らしい字で書かれてあった。
本来はラスがゴールドストーン王国を継ぐはずだったので、次に生まれてくる子が妹であれ弟であれ、その重責を背負わせてしまうことを少し負い目に感じながらも、今後も母国を全力で支えてやろう、とコハクと誓い合っていた。
「これは絶対喜んでくれるだろ。チビ、良いアイディアだな」
「うんっ!これ書き終わったらジャングルに探検に行こうね!」
まだ新婚旅行は始まったばかり。
あの便箋…もう何枚目の失敗だろうか。
自分の思うようにいかないのか、時々金色の髪をくしゃくしゃにかき混ぜながら叫んでいるラスを愛しい眼差しで見守っていた。
…あれを手伝ってはいけないのだ。
これから生まれてくる弟か妹のために、ラスが無い知恵を絞って必死になって考えたアイディアなのだから、納得がいくまで見守ろうと決めていた。
「チビ、先にルゥにオートミール食わせるからな。あとやわらかくしたオムライスも」
「うん、ごめんねコー、もうちょっとでできそうだから…」
「気にしなくっていいって。ベビー、パパと一緒にご飯食べような」
時々ルゥのことをベビーと呼ぶコハクは、ルゥを膝に乗せて、ものすごく美味しそうなルゥ用の特製オムライスを口に入れてやると、ルゥが嬉しそうにへらっと笑った。
その芳しい匂いに下げっぱなしだった顔を上げたラスは、宝石のようにグリーンピースが散りばめられたオムライスを見てお腹を鳴らし、コハクを笑わせた。
「ちょっと休憩しろよ。せっかく作ったんだから食ってもらいたいなー」
「うん、わかった。美味しそうだね、ルゥちゃん美味しい?」
「あぶぅ」
もっと、というように口を開くルゥにせっせとオムライスを食べさせるコハクは、もう完璧な主婦…いや、主夫と言える。
何にしても器用でそつなくこなしてくれるので、今までどれだけ助かったことか――
ラスはとても美味しいオムライスを口に運んで顔を輝かせると、スプーンで掬ってコハクの口元に持って行った。
「私が作ったんじゃないけど、はいどうぞ。あーんして」
「あーん!ん、美味い美味い。チビに食わせてもらうともっと美味い!」
「あともうちょっとでできるから。これは成功しそうだよ、見て見て」
白や赤、淡いピンクの貝殻を散りばめた便箋には、“生まれてきてくれてありがとう”と可愛らしい字で書かれてあった。
本来はラスがゴールドストーン王国を継ぐはずだったので、次に生まれてくる子が妹であれ弟であれ、その重責を背負わせてしまうことを少し負い目に感じながらも、今後も母国を全力で支えてやろう、とコハクと誓い合っていた。
「これは絶対喜んでくれるだろ。チビ、良いアイディアだな」
「うんっ!これ書き終わったらジャングルに探検に行こうね!」
まだ新婚旅行は始まったばかり。