魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
もうひとり
北西に向かっていたラスたちは、船の上から大きな山脈が連なる山を見上げていた。
「この山の上の方にホルンっていう村があるんだけど、手先が器用な奴が多くて工芸品が沢山あるらしいぜ。チビに似合うリングとかピアスとかたーくさんあるらしいんだけど、どする?」
「行く行く!コーもピアスが似合いそうだよね、お揃いにする?」
「ぶふっ!“行く行く”って…!や、な、なんでもねえ!よっし、じゃあ麓の村に行こう。船はさすがに目立つから魔法で隠しとく」
ゴールドストーン王国から船で1日行った所に港もない小さな村があった。
漁業で成り立っている村らしく、村からかなり離れた場所で船を降りて魔法で隠すと、コハクは指をぱちんと鳴らして例の馬車を出すとラスと一緒に乗り込む。
わくわくさ加減が止まらなくなって脚をばたばたさせて喜んでいるラスを膝に乗せて悦に浸っている間に、ルゥがぶるっと身体を震わせた。
「ルゥちゃん寒いの?風邪引いたら大変!沢山お洋服着せてあげなくちゃ」
「へーきへーき、俺が魔法かけてやっから。ルゥ、こっち来い」
ラスが抱っこしていたルゥを受け取り、額とつんと突いて熱の魔法をかけると、途端にルゥの身体がぽかぽかして鼻水が止まった。
ものすごく心地いい温かさなのかそのまま寝てしまい、その間にラスがせっせと着替えさせて、ルゥの頭にうさぎの耳が生えた真っ白なもこもこの帽子を被せた。
「これ私とお揃いなの。見てコー」
キャリーバッグからラスが取り出したのは先ほどルゥに被せたものと同じうさぎ耳の帽子。
それを被ったラスを見た色ぼけ魔王は大コーフンして叫んだ。
「めっちゃ可愛い!!どうしよう、襲いてえ!」
「駄目。はいコー、このコート着てね。コーにも帽子買っておいたよ、ニット帽だけど」
ラスが用意してくれたあたたかそうな黒いダッフルコートと黒いニット帽を被ったコハクはいつもとは少し違うコハクに見えた。
どちらかといえばいつも薄着だし、こうして帽子を被ることもないのでついにこにこしていると、コハクは馬車の中が冷えないように魔法をかけた後、ラスが着ていたワンピースを脱がせて冬仕様のセーターやマフラーを取り出して着せた。
「コー、とっても楽しみ!何か新しい出会いがあるといいね」
「出会いとか必要ねえよ。ほら着いたぞ、ちょろちょろして迷子になんねえようにしっかり手は繋いでるからな」
どこまでも、心配性。
「この山の上の方にホルンっていう村があるんだけど、手先が器用な奴が多くて工芸品が沢山あるらしいぜ。チビに似合うリングとかピアスとかたーくさんあるらしいんだけど、どする?」
「行く行く!コーもピアスが似合いそうだよね、お揃いにする?」
「ぶふっ!“行く行く”って…!や、な、なんでもねえ!よっし、じゃあ麓の村に行こう。船はさすがに目立つから魔法で隠しとく」
ゴールドストーン王国から船で1日行った所に港もない小さな村があった。
漁業で成り立っている村らしく、村からかなり離れた場所で船を降りて魔法で隠すと、コハクは指をぱちんと鳴らして例の馬車を出すとラスと一緒に乗り込む。
わくわくさ加減が止まらなくなって脚をばたばたさせて喜んでいるラスを膝に乗せて悦に浸っている間に、ルゥがぶるっと身体を震わせた。
「ルゥちゃん寒いの?風邪引いたら大変!沢山お洋服着せてあげなくちゃ」
「へーきへーき、俺が魔法かけてやっから。ルゥ、こっち来い」
ラスが抱っこしていたルゥを受け取り、額とつんと突いて熱の魔法をかけると、途端にルゥの身体がぽかぽかして鼻水が止まった。
ものすごく心地いい温かさなのかそのまま寝てしまい、その間にラスがせっせと着替えさせて、ルゥの頭にうさぎの耳が生えた真っ白なもこもこの帽子を被せた。
「これ私とお揃いなの。見てコー」
キャリーバッグからラスが取り出したのは先ほどルゥに被せたものと同じうさぎ耳の帽子。
それを被ったラスを見た色ぼけ魔王は大コーフンして叫んだ。
「めっちゃ可愛い!!どうしよう、襲いてえ!」
「駄目。はいコー、このコート着てね。コーにも帽子買っておいたよ、ニット帽だけど」
ラスが用意してくれたあたたかそうな黒いダッフルコートと黒いニット帽を被ったコハクはいつもとは少し違うコハクに見えた。
どちらかといえばいつも薄着だし、こうして帽子を被ることもないのでついにこにこしていると、コハクは馬車の中が冷えないように魔法をかけた後、ラスが着ていたワンピースを脱がせて冬仕様のセーターやマフラーを取り出して着せた。
「コー、とっても楽しみ!何か新しい出会いがあるといいね」
「出会いとか必要ねえよ。ほら着いたぞ、ちょろちょろして迷子になんねえようにしっかり手は繋いでるからな」
どこまでも、心配性。