魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
「コー、戻って来るの遅いなあ。ねえルゥちゃん、ママとお風呂に入ろっか」
「ぷあぅっ」
コハクが居ないのにルゥひとりを置いてお風呂に入るわけにはいかず、ルゥを抱っこしたラスはバスルームに行ってワンピースを脱ぐと、少しぬるめのお湯でルゥの身体を洗ってやった。
気持ちよさそうにじっとしている我が子は自分の遺伝子を受け継いでいるのか?と疑うほどにコハクそっくりで、将来は絶対女泣かせな男になるだろう。
現にコハクは長い生の間で散々女遊びをしてきたのだろうから。
「ルゥちゃん、そういうとこはパパに似ちゃ駄目だよ。ね?」
バスタブに浸かると楽しさが爆発して興奮したルゥがばしゃばしゃとお湯を叩き、全身ずぶ濡れになったラスもお返しと言わんばかりにルゥのお腹をくすぐっていると――
突然誰かに見られているような気がして、顔を上げた。
…もちろん誰に見られているわけでもなかったが、足元が冷えていくような感覚がして、ルゥをぎゅっと抱きしめたラスは不安そうに辺りをきょろりと見回して息を潜める。
「誰…?」
かたん――
部屋の方から物音がしたので、コハクが帰ってきたのだと思ったラスはバスタブから出てルゥをバスタオルで包み込むと、裸のままドアを思いきり開けた。
「コー、遅いよ!あんまり遅いから勝手にお風呂入っちゃったからね」
「………!!」
こちらを見つめたまま固まっているコハクの様子がいつもと違うことに全く気付いていないラスは、ずいっとバスタオルをコハクに差し出してさも当然のように言った。
「コー、拭いて」
「…あ、ああ…」
全身に注がれる視線。
それもいつものことなので全く気にしていないラスは、たどたどしい手つきのコハクに痺れを切らしてバスタオルを奪い返すと、ルゥをその腕に抱かせた。
「ルゥを綺麗に拭いて寝かせてあげてね。すぐ戻るから待ってて」
返事はなく、とにかくコハクが戻って来てくれたことにほっとしたラスは、またバスルームに戻ってピンクのネグリジェを着ると部屋に戻った。
…だがその時にはまたコハクの姿はなく、きょとん。
「あれ?またどこかに行っちゃったの?」
――その頃、コハクと勘違いされてしまったアーシェは、顔を真っ赤にして逃走していた。
「ぷあぅっ」
コハクが居ないのにルゥひとりを置いてお風呂に入るわけにはいかず、ルゥを抱っこしたラスはバスルームに行ってワンピースを脱ぐと、少しぬるめのお湯でルゥの身体を洗ってやった。
気持ちよさそうにじっとしている我が子は自分の遺伝子を受け継いでいるのか?と疑うほどにコハクそっくりで、将来は絶対女泣かせな男になるだろう。
現にコハクは長い生の間で散々女遊びをしてきたのだろうから。
「ルゥちゃん、そういうとこはパパに似ちゃ駄目だよ。ね?」
バスタブに浸かると楽しさが爆発して興奮したルゥがばしゃばしゃとお湯を叩き、全身ずぶ濡れになったラスもお返しと言わんばかりにルゥのお腹をくすぐっていると――
突然誰かに見られているような気がして、顔を上げた。
…もちろん誰に見られているわけでもなかったが、足元が冷えていくような感覚がして、ルゥをぎゅっと抱きしめたラスは不安そうに辺りをきょろりと見回して息を潜める。
「誰…?」
かたん――
部屋の方から物音がしたので、コハクが帰ってきたのだと思ったラスはバスタブから出てルゥをバスタオルで包み込むと、裸のままドアを思いきり開けた。
「コー、遅いよ!あんまり遅いから勝手にお風呂入っちゃったからね」
「………!!」
こちらを見つめたまま固まっているコハクの様子がいつもと違うことに全く気付いていないラスは、ずいっとバスタオルをコハクに差し出してさも当然のように言った。
「コー、拭いて」
「…あ、ああ…」
全身に注がれる視線。
それもいつものことなので全く気にしていないラスは、たどたどしい手つきのコハクに痺れを切らしてバスタオルを奪い返すと、ルゥをその腕に抱かせた。
「ルゥを綺麗に拭いて寝かせてあげてね。すぐ戻るから待ってて」
返事はなく、とにかくコハクが戻って来てくれたことにほっとしたラスは、またバスルームに戻ってピンクのネグリジェを着ると部屋に戻った。
…だがその時にはまたコハクの姿はなく、きょとん。
「あれ?またどこかに行っちゃったの?」
――その頃、コハクと勘違いされてしまったアーシェは、顔を真っ赤にして逃走していた。