魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
廊下を爆走していたアーシェは、ラスの裸が目に焼き付いて離れなくなっていた。
「やばい…。やばい…!やばい……!」
思えば最近は女を抱いていなかったし、ましてやラスの裸は…完璧だった。
ひとつの作品のように美しく、それにさも当然と言わんばかりに“身体を拭いて”と言ってきたラスが自分を誰と勘違いしたのか――
「…髪でも切るか」
確かに瞳の色はよく見ればコハクとは少し色合いが違うが、他はぱっと見はほぼ同じ。
髪の長さもほぼ同じなので、髪を切れば違いが出て勘違いされなくなるはず。
思い立ったら吉日のアーシェは、仕事部屋と定めた2階の角部屋に行くと、鏡の前に立ってハサミを手に取った。
そして器用に後ろ髪を切っていき、コハクとの明らかな違いを作る。
「ん、これでいい。これで勘違いされなくなるは、ず……」
「アーシェ、入ってもいい?」
可愛らしい声にぎくしゃくと振り返ったアーシェは、ドアを少しだけ開けた中を覗き込んでいたラスを見つけると、かくかくと頷いた。
するとラスは髪を切ってすっきりしたアーシェの違いにすぐ気付き、駆け寄って背伸びをして顔を覗き込んできた。
「髪が短い!いつ切ったのっ?かっこいい!」
「さ、さっき…。おい、顔近過ぎ……」
「コーは昔から髪が少し長いから新鮮!ふうん、コーも髪を切ったらこんな感じになるんだね。なんだか一石二鳥な気分!」
…常に楽しそうなラス。
まだ髪は少し濡れているし、抱っこしているルゥはすやすや眠っていて置いて行くわけにはいかなかったのだろう。
心細くてここまで来たのだろうから、まだどきどきしながらもアーシェは椅子を勧めてラスを座らせた。
「ここは仕事部屋にするからベッドは要らないし邪魔だから部屋から出してもらったんだ。そこに座ってろ」
「うん、わかった」
この街は住んでいた村と違って、なんでもすぐ揃った。
彫刻の材料もあっという間に手に入り、しかも街を巡回していた改造済みの魔物が大量の材料を運び込むのを手伝ってくれたので、今頭の中にあるイメージはすぐにでも形にできる。
「コハクはどうした?」
「多分屋上に居るんだけど、難しい話をしてるのなら私わかんないからここに居てもいい?」
「…別に構わない」
言葉少ななコハクと話しているようで、ラスはひっそり萌えていた。
「やばい…。やばい…!やばい……!」
思えば最近は女を抱いていなかったし、ましてやラスの裸は…完璧だった。
ひとつの作品のように美しく、それにさも当然と言わんばかりに“身体を拭いて”と言ってきたラスが自分を誰と勘違いしたのか――
「…髪でも切るか」
確かに瞳の色はよく見ればコハクとは少し色合いが違うが、他はぱっと見はほぼ同じ。
髪の長さもほぼ同じなので、髪を切れば違いが出て勘違いされなくなるはず。
思い立ったら吉日のアーシェは、仕事部屋と定めた2階の角部屋に行くと、鏡の前に立ってハサミを手に取った。
そして器用に後ろ髪を切っていき、コハクとの明らかな違いを作る。
「ん、これでいい。これで勘違いされなくなるは、ず……」
「アーシェ、入ってもいい?」
可愛らしい声にぎくしゃくと振り返ったアーシェは、ドアを少しだけ開けた中を覗き込んでいたラスを見つけると、かくかくと頷いた。
するとラスは髪を切ってすっきりしたアーシェの違いにすぐ気付き、駆け寄って背伸びをして顔を覗き込んできた。
「髪が短い!いつ切ったのっ?かっこいい!」
「さ、さっき…。おい、顔近過ぎ……」
「コーは昔から髪が少し長いから新鮮!ふうん、コーも髪を切ったらこんな感じになるんだね。なんだか一石二鳥な気分!」
…常に楽しそうなラス。
まだ髪は少し濡れているし、抱っこしているルゥはすやすや眠っていて置いて行くわけにはいかなかったのだろう。
心細くてここまで来たのだろうから、まだどきどきしながらもアーシェは椅子を勧めてラスを座らせた。
「ここは仕事部屋にするからベッドは要らないし邪魔だから部屋から出してもらったんだ。そこに座ってろ」
「うん、わかった」
この街は住んでいた村と違って、なんでもすぐ揃った。
彫刻の材料もあっという間に手に入り、しかも街を巡回していた改造済みの魔物が大量の材料を運び込むのを手伝ってくれたので、今頭の中にあるイメージはすぐにでも形にできる。
「コハクはどうした?」
「多分屋上に居るんだけど、難しい話をしてるのなら私わかんないからここに居てもいい?」
「…別に構わない」
言葉少ななコハクと話しているようで、ラスはひっそり萌えていた。