魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
金色の花は成長が早く、どれだけ花弁が散ってもすぐにまた新しい花が咲く。
じょうろで水を遣っていたラスは、時々鼻歌を唄いながらちょこまかと動き回っていた。
「コー遅いね。ねえデス、お腹空いてない?大丈夫?」
「………うん…」
親鳥の後を追う雛鳥のようにラスについて回っていたデスが小さな返事を返すと、突然突風が吹いた。
金色の花の花弁が一斉に宙を舞い、街に金色のシャワーが降り注ぐ。
歓声を上げたラスは柵の無い屋上でぎりぎりまで身を乗り出して、金色に染まる街を見て感激していた。
「わあ、すごいっ!綺麗!アーシェこれ見てるかなあ、ここの名物みたいなものだもんね。…きゃっ!」
さらに突風が吹いた時に身体のバランスを崩して屋上から落ちそうになった。
どんなに手を伸ばしても届かない距離に居たラスに駆け寄ろうとしたデスよりも先に、ラスの掴んで強く引っ張った者が在った。
「………だあれ?」
『ベイビィちゃん、身を乗り出すと危ないぜ』
その呼び方――ひとりしかいない。
いや、1匹というべきか…
ラスが目を真ん丸にしていると、その男…ドラちゃんは、ラスにはじめて見せる姿だったことを思い出して、ラスを強く胸に抱きしめた。
『俺はあの黒いドラゴンだ。ベイビィちゃんがドラと呼んでいたあれさ』
「え…?ドラちゃんって人になれたの?それにかっこいい!わあ…瞳の色が綺麗」
切れ長の黒の瞳だが、瞳の中に金色の炎がゆらゆらと揺らめいている。
ワイルドというべきか、セクシーというべきか――
お尻を撫でられていることにようやく気付いたラスは、コハクが激怒する姿が目に浮かんでドラちゃんの手をぎゅっとつねった。
『どうだ、俺の卵を産んでくれる気になったかい?俺ならいつでもOKだぜ』
「駄目だよ私はコーの赤ちゃんしか生まないんだから。あ、グラース」
いつも部屋に居ないグラースが屋上に姿を見せると、デスとドラちゃんがぎくりとなる。
ラスはそんな2人の反応に全く気付かず、グラースに駆け寄って腕に抱き着いた。
「ドラちゃんが人になれたの知ってた?かっこいいよね」
「この前知った。ああいう男、嫌いじゃない」
グラースの美しい唇が笑む。
ぷいっと顔を逸らしたドラちゃんは、屋上にごろりと寝転がってうたた寝を始めた。
じょうろで水を遣っていたラスは、時々鼻歌を唄いながらちょこまかと動き回っていた。
「コー遅いね。ねえデス、お腹空いてない?大丈夫?」
「………うん…」
親鳥の後を追う雛鳥のようにラスについて回っていたデスが小さな返事を返すと、突然突風が吹いた。
金色の花の花弁が一斉に宙を舞い、街に金色のシャワーが降り注ぐ。
歓声を上げたラスは柵の無い屋上でぎりぎりまで身を乗り出して、金色に染まる街を見て感激していた。
「わあ、すごいっ!綺麗!アーシェこれ見てるかなあ、ここの名物みたいなものだもんね。…きゃっ!」
さらに突風が吹いた時に身体のバランスを崩して屋上から落ちそうになった。
どんなに手を伸ばしても届かない距離に居たラスに駆け寄ろうとしたデスよりも先に、ラスの掴んで強く引っ張った者が在った。
「………だあれ?」
『ベイビィちゃん、身を乗り出すと危ないぜ』
その呼び方――ひとりしかいない。
いや、1匹というべきか…
ラスが目を真ん丸にしていると、その男…ドラちゃんは、ラスにはじめて見せる姿だったことを思い出して、ラスを強く胸に抱きしめた。
『俺はあの黒いドラゴンだ。ベイビィちゃんがドラと呼んでいたあれさ』
「え…?ドラちゃんって人になれたの?それにかっこいい!わあ…瞳の色が綺麗」
切れ長の黒の瞳だが、瞳の中に金色の炎がゆらゆらと揺らめいている。
ワイルドというべきか、セクシーというべきか――
お尻を撫でられていることにようやく気付いたラスは、コハクが激怒する姿が目に浮かんでドラちゃんの手をぎゅっとつねった。
『どうだ、俺の卵を産んでくれる気になったかい?俺ならいつでもOKだぜ』
「駄目だよ私はコーの赤ちゃんしか生まないんだから。あ、グラース」
いつも部屋に居ないグラースが屋上に姿を見せると、デスとドラちゃんがぎくりとなる。
ラスはそんな2人の反応に全く気付かず、グラースに駆け寄って腕に抱き着いた。
「ドラちゃんが人になれたの知ってた?かっこいいよね」
「この前知った。ああいう男、嫌いじゃない」
グラースの美しい唇が笑む。
ぷいっと顔を逸らしたドラちゃんは、屋上にごろりと寝転がってうたた寝を始めた。