魔王と王女の物語③-Boy meets girl-【完】
肉食系のグラースは、彼らがそういう反応を示すことを予想していたし、楽しんでいた。
“美女は黙っていても男が寄ってくる”とよく言われるが、それは面白くない。
様々な種類の男が居るし、それに指をくわえて黙って見ているのは性に合わない。
「ラス、あのドラゴン、私が貰ってもいいか?」
「…え?意味がわかんない。どういうこと?」
一緒にベンチに座って脚をぶらぶらさせていたラスが目を見張るとグラースはごろ寝しているドラちゃんのしなやかな背中を舐めるようにして見ながらほくそ笑む。
「あれは私のタイプだ。死神もタイプだが私にはなびきそうにないから諦める。あのドラゴンなら落とせそうな気がする」
「でも…ドラちゃんはドラゴンだよ?今は人に変身してるけど…」
「強そうな子ができそうじゃないか。女なら1度は出産を経験してみたい。結婚を望んでいるわけじゃないし、強いて言えば…種が欲しいというところか」
「種?」
きょとんとしたラスの頭を撫でてくすりと笑ったグラースは、ラスを捜して屋上に現れたコハクに目を遣ると、手を引っ込めた。
…この魔王は男でも女でもラスに近寄る者が在ればすぐにやきもちを妬くので厄介だ。
ゆっくり立ち上がったグラースは、ラスの肩にぽんと手を置いて腰を折ると、耳元でこそりと囁く。
「というわけで、近いうちルゥの遊び友達ができるかもしれない。楽しみにしていてくれ」
「ど、ドラちゃんとグラースが…!うん、私応援するっ」
「おい、なーんの話してんだよ。俺も交ぜろ!」
荒々しく近寄ってくるコハクから逃げるようにして花壇の前に座り込んでいたデスをからかいに行ったグラースを見送ったラスは、興奮気味にコハクを見上げてにやにやした。
「なににやにやしてんだよ。朝隣に居なくて焦ったんだからな」
「コーが気持ちよさそうに寝てたから起こさなかったんだよ。アーシェの見た?まだ見てないの?あとグラースの話がすごかったの!」
「?まだ行ってねえし、グラースがなんだって?」
ラスはコハクを無理矢理隣に座らせてこそこそと囁いた。
コハクの表情がみるみるにやけて、傍に咲いている金色の花を一輪摘んでラスの耳元に飾ると、肩を抱いてにんまり。
「へえ、グラースがドラのねえ…。どっちとも超肉食じゃねえかよ」
「超肉食?よくわかんないけどお似合いのカップルになりそうだよね。コー、応援しようね!」
新たなカップル誕生か?
“美女は黙っていても男が寄ってくる”とよく言われるが、それは面白くない。
様々な種類の男が居るし、それに指をくわえて黙って見ているのは性に合わない。
「ラス、あのドラゴン、私が貰ってもいいか?」
「…え?意味がわかんない。どういうこと?」
一緒にベンチに座って脚をぶらぶらさせていたラスが目を見張るとグラースはごろ寝しているドラちゃんのしなやかな背中を舐めるようにして見ながらほくそ笑む。
「あれは私のタイプだ。死神もタイプだが私にはなびきそうにないから諦める。あのドラゴンなら落とせそうな気がする」
「でも…ドラちゃんはドラゴンだよ?今は人に変身してるけど…」
「強そうな子ができそうじゃないか。女なら1度は出産を経験してみたい。結婚を望んでいるわけじゃないし、強いて言えば…種が欲しいというところか」
「種?」
きょとんとしたラスの頭を撫でてくすりと笑ったグラースは、ラスを捜して屋上に現れたコハクに目を遣ると、手を引っ込めた。
…この魔王は男でも女でもラスに近寄る者が在ればすぐにやきもちを妬くので厄介だ。
ゆっくり立ち上がったグラースは、ラスの肩にぽんと手を置いて腰を折ると、耳元でこそりと囁く。
「というわけで、近いうちルゥの遊び友達ができるかもしれない。楽しみにしていてくれ」
「ど、ドラちゃんとグラースが…!うん、私応援するっ」
「おい、なーんの話してんだよ。俺も交ぜろ!」
荒々しく近寄ってくるコハクから逃げるようにして花壇の前に座り込んでいたデスをからかいに行ったグラースを見送ったラスは、興奮気味にコハクを見上げてにやにやした。
「なににやにやしてんだよ。朝隣に居なくて焦ったんだからな」
「コーが気持ちよさそうに寝てたから起こさなかったんだよ。アーシェの見た?まだ見てないの?あとグラースの話がすごかったの!」
「?まだ行ってねえし、グラースがなんだって?」
ラスはコハクを無理矢理隣に座らせてこそこそと囁いた。
コハクの表情がみるみるにやけて、傍に咲いている金色の花を一輪摘んでラスの耳元に飾ると、肩を抱いてにんまり。
「へえ、グラースがドラのねえ…。どっちとも超肉食じゃねえかよ」
「超肉食?よくわかんないけどお似合いのカップルになりそうだよね。コー、応援しようね!」
新たなカップル誕生か?