臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
やっぱり見るだけでいい
もやもやした週末を過ごした麻由子の朝はテンションがかなり低い。全くやる気のないオーラが漂っている。

いつもの時間に家を出て、いつものように駅を出てから数メートル先に航平の姿を目で捕らえるが、近付くことが出来なかった。


いつもは早くなる足が今日はどんどん遅くなる。亀が歩くのよりも遅いかもしれない。


航平との距離が広がっていく。

ゆっくり歩く麻由子をたくさんの人が抜かしていく。


麻由子はどんどん離れて小さくなっていく航平の後姿をただ見ることしか出来なかった。


それでも、見れただけで充分で、やっぱり見るだけでいいんだと思うのである。

明日からは以前のように自販機の横に隠れようかとも思っていた。
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