臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
でも、隠れることはしなかった。翌日もその翌日も、麻由子は後ろから航平を眺めることしか出来なかったが。


出来ないといっても、麻由子は「今日も見れた」と以前のような小さいことに満足していた。


だから、今日も元気である。航平を見るだけで1日を元気に過ごせていた。


そんな麻由子と反対に元気がないのは航平だった。

何だかこの頃、何かがもの足りないと感じていた。どことなく寂しい感じがあった。


「おはようございます」


廊下で千尋とすれ違う。千尋は楠本に用があって、営業課に来ていて、戻るところだった。


「あ、千尋ちゃん」


航平は会釈をして通り過ぎていく千尋を呼び止めた。


「はい?何でしょう?」


千尋は立ち止まって、キョトンとした顔で航平を見る。

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