臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「私?私は特に予定なんてないよ。多分1人で寂しくご飯食べてるかな。ハハッ」


自分の話題になると麻由子は暗くなる。去年は千尋と家でささやかなパーティをしたけど、今年の千尋は楠本と過ごすだろう。


「この前話してた営業の先輩とはどうなったの?」


営業の先輩…もちろん航平のことである。1ヶ月前、莉奈と会った時には「毎朝、話をしてる」とニコニコ顔で報告していた。

それから1ヶ月経ったのだから、普通に考えればもっと進展していてもおかしくはない。莉奈はどんな展開が聞けるのかと楽しみにしていた。


「挨拶もしなくなっちゃったんだ…」


進展どころか後退してしまったことを告げる。


「ええ?何でそんなことになっているのよ?」


莉奈は眉間に皺を寄せる。
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