臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「じゃあ、どうするのよ?」


千尋は苛立って、テーブルを叩く。


「今のままでいい。私には見ているだけで充分なんだから。元気な姿が見れればそれでいいの。見ているだけで、幸せにだってなれるもの」

「そんなの中学生の恋じゃあるまいし、見ているだけなんて…あっという間におばさんになってしまうわよ」


千尋の意見も…もっともだ。


実際、好きだと気付いてから1年半の月日が流れている。麻由子だって、この1年半の間に誕生日があって、1つ年を重ねたことは紛れもない事実となっている。そのまま1年、2年と年を重ねたら…


(このままおばさんになってしまう?)


ブンブン、麻由子は否定するように首を横に振った。

見ているだけでは何も進展しない。でも、千尋が言うチャンスとは本当に今なんだろうか。
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