臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
一緒にいたい
「ちょっとトイレ、行って来ます」


航平は麻由子たちがいる同じ居酒屋のカウンター席で主任と二人で飲んでいた。主任の奥さんから早く帰ってきて!と連絡が来たため、そろそろ出ようかと話していた。

主任は奥さんに逆らえないらしい。

そこで、出る前に「トイレ…」と席を立ったのである。


トイレの近くの壁際に見たことある男の姿があった。


(ん?佐久間か?)


佐久間の向こうにいる女の髪が少し見えたが、顔が見えない。


(口説き中か?頑張れ)


こっそりエールを送り、トイレのドアに手を掛けたその時…


「やめて!」


女の嫌がる声が聞こえた。

え?

聞いたことがある声だ。航平は佐久間の方を振り返った。
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