臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
航平は一旦手を離して、麻由子を見る。それにつられて、佐久間も手を離す。


「どっちと一緒に帰りたいのか、どっちと一緒にいたいのか。麻由子ちゃん、佐久間と俺のどっちがいい?それとも、どっちでもないでもいいよ」


優しい目で麻由子を見る。

麻由子の答えはもちろん決まっている。

好きな人と一緒にいたい。


「速水さんです」


航平はフッと笑って、佐久間をチラッと見る。


「佐久間…、というわけだ。分かっただろ?麻由子ちゃんと帰るのは俺だ。行こう」


再び麻由子の手を握って、カウンター席の方に足を向ける。


「あ、コートが席に置いたままになっていて」

「じゃ、一緒に取りに行こう」



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