臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
電話は佐久間からだった。


何で麻由子の番号を知ってるのか尋ねると、楠本から聞いたと言う。勝手に人の番号を教えるなんて…楠本に会ったら絶対に抗議しようと思った。


‘今、もしかして速水さんと一緒?’

「ううん、速水さんは送ってくれただけだから」

‘へえ~、あの人、意外と紳士なんだね’

「…」


佐久間は何のために掛けてきたのだろう。早く切ってしまいたい。


‘ところでさ、明日暇だったらデートしない?’


自分があの時に振られたという意識がないのか、懲りずに誘ってくる。


「デートなんて、しない。お願いだから、もう誘わないで。私、ちゃんと断ったでしょ」

‘藤野も暇なんだろ?どこで待ち合わせようか?’
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