臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
返事をちゃんと聞かない男は最低だ。振られても仕方がない。


「暇じゃないから…会わないよ。もう切るからね」

‘どんな用事があるの?誰かとデートでもするの?’


デートする相手なんていない。デートしたい相手ならいるけど。

でも、全然引かない佐久間に嘘を伝えても、いいかなと思う。


「そう、明日はデートだから」

‘誰と?’


佐久間の声が低くなる。


「え?誰でもいいじゃない。佐久間くんに言う必要はないでしょ」

‘それ、嘘だろう?付き合っている人はいないって言ってたよね?それなのにデートはありえないよな’


すぐに見抜かれる嘘だった。でも、ここで引き下がるわけにはいかない。嘘は最後までつき通さないとならない。
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