臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「こうやって、デートする仲だけど、見て分からない?」


航平は咄嗟に繋いでいた手の指を絡めて、繋ぎ直して、佐久間に見せつけた。


「…っ、分かりました。今日は諦めます」


佐久間は繋がれた手を切なく見て、駅の構内に入って行った。


「ふーん、今日はか…。あいつかなりしつこそうだな。まだ油断は出来ないね」


佐久間の発言はしばらく諦めそうもないように聞こえた。これからも何か攻撃してくるかもしれない。麻由子を1人にしては危険だ。

握る手に力をこめる。


「すいません…」

「何で麻由子ちゃんが謝るの?悪いのは佐久間だよ。だから、謝らなくていいし。あ、そうだ!麻由子ちゃん、これから謝るの禁止ね」


つい謝ってしまう麻由子に航平は禁止令を出した。
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