臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「入りたいとこある?何か買いたいものとか、服とか見る?」


麻由子は先ほど通り過ぎた店をゆっくり指差して、「あそこ見てもいいですか?」と言った。


「うん、いいよ。行こう」


回れ右して、少し戻る。


麻由子が興味を持ったのは、インテリア雑貨の店だった。一人暮らしの麻由子はこういう店を見るのが好きだった。

寒くなってきたので、暖かくなるグッズが欲しくなっていた。手触りの良いブランケットに触れる。


「暖かそう」

「うん。寒くなってきたからひざ掛けにいいね」

「あ、これかわいい」


白地に黒い猫のシルエット柄。好きな猫柄を見つけた麻由子は、それを抱き締めた。かわいいし、暖かい。


「猫、好き?」

「はい。でも、うちでは飼えなくて」

「あー、そうだね」
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