臆病な恋心～オフィスで甘く守られて～

突然叩かれて驚く雪菜に、満面の笑顔を見せる。目を丸くする姿も可愛い。雪菜を見るだけで、自然に口元が緩む。


「速水さん…あ、お疲れ様です。今、戻りですか？」


航平は雪菜に振られた後も今までと変わらない態度で接していた。そんな航平に雪菜も安心するかのように、変わらない態度で言葉を交わす。

雪菜の隣りで不機嫌な顔して立っている竜哉は、航平の視界にも入っている。だが、完全無視だ。雪菜を奪った男になんて興味はない。話し掛けようなんて到底思わない。


「今日は外、風が強いから帰り、気をつけてね」

「あ、ほんとだ。木がすごい揺れていますね。はい、気を付けて帰ります。ありがとうございます」


雪菜は窓から見える木々に目をやってから、笑顔でお礼行った。雪菜の素直な一面に航平は一番惚れていた。だから、自分の隣りで笑っていて欲しいと願っていた。