臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「ねえねえ、麻由子」


清算書をパソコン入力をしている麻由子の横に千尋が座ってきた。

麻由子の横のデスクはグループリーダーの席であるが、今はミーティングルームに行っていて席を外している状態だ。


「何、どうしたの?」


入力する手を止めないで、聞く。


「速水さんを誘った?」


千尋の問いに麻由子は手を止める。


「誘ってない」


呟くような小さい声で返す。

千尋は先週からずっと「クリスマスを一緒に過ごしてくれませんか」と誘えと何度も言ってきていた。


「えー、だって、この前一緒に帰ったでしょ?その時に言わなかったの?」


あの日は佐久間とのこともあって、それどころではなかった。それに誘う以前に予定を聞いていない。


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