臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「ここに受領印をお願いします」

「は-い。あ、そうだ!」


美里は渡された受領書にはんこを押しながら、何かを思い出して、麻由子の顔をじっと見る。

麻由子は何だろう?と身構える。


「ねえ、麻由子ちゃん、24日は空いてる?」


12月の24日はクリスマスイブである。

24日だけでなく25日のクリスマスでさえも、麻由子は悲しいことに予定が何もなかった。


「いえ、何も予定はなくて」


予定がないことを寂しいことと思われるように感じて、体を小さくしてしまう。

だけど、美里は小さくなる麻由子を気にしないで、なぜか目を輝かせた。そして、麻由子の手を両手で握る。

麻由子は女でもきれいな人に握られて、ドキッとする。


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