臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
夕方の4時、航平が車で麻由子のマンションに来て、助手席のドアを開ける。


「どうぞ、乗って」

「わざわざ迎えに来ていただき、ありがとうございます」


麻由子は助手席に座り、航平が運転する姿をチラチラ見てはときめいていた。

車という狭い空間に二人だけでいるなんて、信じられなくて、どう息していいかも分からず困っていた。


「緊張しなくていいよ。ごく普通の家でのごく普通のクリスマスパーティーだから」

「はい。ありがとうございます」

「クスッ、まだ緊張してる」


強張る表情の麻由子を笑い、そっと手を握る。


「落ち着いて」


手を握られて落ち着くどころか、心臓がうるさく動く。麻由子は赤い顔を見られないようにと窓の方に顔を向けた。


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