臆病な恋心～オフィスで甘く守られて～

洋風な猫に似合わない和風で平凡な名前であるが、猫好きの麻由子にはどんな名前でもかわいく聞こえてしまっていた。

航平はタマを持ち上げて、麻由子の膝の上に乗せる。本当に人懐っこいタマは嫌がることもしないで、落ち着いた様子で丸くなる。麻由子の膝の上が気に入った様子だ。


「暖かいですね」


麻由子は何度もタマを撫でた。


「さあ、準備が出来たし、食べましょう！」


美里の掛け声でみんながテーブルに集まる。麻由子と航平の向かい側に美里と美里の夫が座った。

航平のもう一つの隣りに妹の美久が座る。


「あれ？美久の彼氏はまだなの？」

「今日、バイトで来れないって。すごく残念そうにしてたけどね」

「じゃあ、まず乾杯しましょう。お母さんも座ってよ」