臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
しかし、どれだけ待っても麻由子は言ってこないから、我慢が出来なくなってきたのだ。待っているだけではダメだと判断して、直接聞くという行動に出た。


航平がくれたチャンスは今だ。伝えるのは今しかない。けれど、麻由子は固まっていた。


「聞きたい、聞かせてよ」


固まる麻由子にもう一度言う。

麻由子は暖まり過ぎたのか、汗ばむ手をこたつから出した。


言わなくちゃ…言わなくちゃ!
今こそがチャンスなんだから。

ほら、速水さんが待っていてくれる!


麻由子は動揺する心を落ち着かせるように、ゆっくり息を吸って、吐いた。

航平はその様子をジッと見て、麻由子の言葉を待つ。


「私、速水さんが好きです。去年からずっと好きなんです」


麻由子、人生初めての告白だ。

やっと想いを伝えることが出来た。
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