臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
麻由子はどかされた手をおでこに持って行く。


(わー、またデコピンされる!)


目を瞑った…。


航平はおでこを隠す麻由子の手を掴む。露わになったおでこにデコピンが来る…。

麻由子は目にギュッと力を入れて、その瞬間を覚悟して待った。


でも、おでこには何も来なかった。

変わりに…


チュ…


え?


麻由子の唇に温かいものが触れた。それは航平の唇だ。


ゆっくりと目を開ける。目の前にはニッコリ笑う航平がいる。


「今の…、お、お仕置き?」

「うん。今度からお仕置きは口にすることに決めたから」


口にされたら、お仕置きではなくてご褒美になってしまう。麻由子は口を押さえて、真っ赤になる。


「ほんと、かわいいね」


航平は麻由子の頭をポンポンと軽く叩いた。麻由子の顔の熱は当分下がりそうにない。

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