臆病な恋心～オフィスで甘く守られて～

航平が何のために聞いているのか不思議に思ったけど、正直に答える。


「実は…あの飲み会は、私が速水さんに近付けるようにと二人が考えてくれた飲み会なんです。それで、楠本くんも千尋とのことに協力して欲しいと言われました。結果、楠本くんはあれで成功したんですけど」

「やっぱり」


航平は優しく微笑んで、麻由子を引き寄せた。

麻由子はゆっくり隣りにある顔を見た。

顔が近付き、目を少し細める。


「あの飲み会のおかげで今こうしていられるんだよね。楠本たちに感謝しないといけないな。温泉まんじゅうでも買っていこうか」


嬉しそうに笑う唇を麻由子に重ねた。

麻由子は優しく触れる航平の唇を受け入れる。伝わってくる温もりに幸せを感じる。