臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
好きな人が隣りにいる。

すぐ触れることの出来る距離にいる。

なんて幸せなんだろう。


「速水さん」


航平の肩を軽く掴み、揺する。


「ん?」

「もうすぐ太陽が出ますよ。初日の出を見ましょうよ」

「ああ…、そうだな。んー」


航平は起き上がり、両手を上げて大きく伸びたあと、露天風呂のほうに歩き出す。

裸のままで歩くいく姿に唖然とした麻由子は、目のやり場に困ってしまい、慌てて逸らす。今さら恥ずかしがることでもないのに。


「麻由子、早くしないと見逃すよ」

「え?あの…」


それでも恥ずかしくて、どこを見たらいいのかと困っている。航平は堂々と麻由子に向かって戻ってきた。


「風呂から見るに決まっているだろ。ほら、早く脱いで」
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