臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「い、いいよ。何もしてくれなくていいから」


麻由子は首を横に振る。とんでもないことを言い出しそうな楠本に警戒する。何だか悪巧みを考えているような目をしている。


「そうだなー、そうだ!今度飲み会でもするか?」


完全に麻由子の返事を無視して話す。麻由子はまた首を横に振る。

一緒に飲むなんてそんな大それたことは出来ない。


「よし!そうしよう!速水さんを俺は誘うからお前は千尋を誘えよ」

「えー!」


突然の強引な提案だ。それに断ったはずなのに。


「ね、俺にも協力してよ」


両手を合わせて、お願いのポーズで懇願する。楠本は千尋が好きなのだ。

楠本の千尋への恋心を知る麻由子は出来る限り協力してあげたいと思う。今、千尋には付き合っている人も好きな人もいないから、可能性はなくもない。

それに二人はお似合いだと思っていた。


「分かった」


渋々ではあるが、了承する。
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