臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
でも、麻由子といつでも会える距離でなくなってしまう。

まだ付き合い始めて3ヶ月。航平自身も不安だし、麻由子も不安になるであろう。このことを伝えたら、何て言うだろう?どんな表情を見せるだろう?


課長との話を終えて、自分のデスクに戻ってきた航平はぼんやりとパソコンの画面を見ていた。考えることは麻由子のことだけだった。

大事にしたいと思う麻由子の悲しい顔は見たくない。

辛い思いはさせたくない。


ガタッ!


「うわっ」


急に航平が立ち上がったから、たまたま後ろを歩いていた楠本がびっくりして、体を一歩ずらした。


「速水さん、どうしました?」

「あ、悪い。ちょっと、総務行ってくる」


不安にさせてしまうかもしれないけど、早く伝えようと思った。他の誰かから耳に入る前に伝えなければならない。

一番大切な存在だから。



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