臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
ロビーで待ち合わせをした。みんな仕事が忙しかったので、時間は7時を過ぎていた。

会社近くにある居酒屋に入る。


「速水さんもさっき帰ったから、近くにいると思うよ」


楠本が航平の状況を教える。


「じゃあ、帰りは一緒に帰れるかもしれないね」

「うん。でも…一緒じゃなくてもいい」


一緒にいたいと思うのに、落ち込んでいる麻由子はつい意地を張ってしまう。


「もう、麻由子ったら。とりあえず飲もう!」


暗い表情を見せる麻由子のためにまず生ビールを頼んだ。


「とりあえず乾杯?」

「何に乾杯するんだよ」


乾杯しようとジョッキを持ち上げる楠本を佐久間は睨む。乾杯するとかいう楽しい気分ではない。


「だって、ほら。そうだな。お疲れ様でいいか」

「うん、お疲れ様だね!はい、お疲れ様ー」


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