臆病な恋心～オフィスで甘く守られて～

佐久間に突っ込まれて、違う言葉を探した楠本は「お疲れ様」と思いつく。それに千尋も同意してジョッキを合わせた。

佐久間と麻由子は無言で合わせる。


「千尋。速水さんが行ってしまうのは寂しいと思うけど、頑張れよ」


何を頑張れというのだ…楠本のよく分からない励ましに麻由子は頷いた。よく分からなくても、心配してくれていることはよく分かる。


「そういえばさ、主任が彼女はどうするんだ？って聞いていたよ」

「え？」


佐久間は、営業課で航平と主任が話しているのを耳にしていた。


「それで速水さんは何て答えたのよ」


千尋が追究する。速水の答えが麻由子も気になった。


「んー、何か言っていたんだけど、よく聞こえなくてね」


肝心なところは聞いていないらしい。