臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
航平と麻由子は航平が異動になってから半年後に結婚した。

それから、二年の月日が流れて、札幌での暮らしも慣れてきていた。

千尋と楠本は半年前に夫婦となり、1ヶ月前に楠本の異動で札幌に引っ越してきた。航平はその頃、主任に昇任した。


麻由子の病室から中庭にある桜の木が見える。


札幌の春は遅い。


5月になった今が満開の時だった。


「わー!ここの桜、きれい!」


千尋は窓に寄って、はしゃぐ。


「うん、きれいだね」


麻由子も航平も楠本もきれいに咲く桜を見た。


「あ、そういえば赤ちゃんはどこ?」

「さっき、看護師さんが新生児室に連れて行っちゃった」

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