臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
よろしくお願いします…自販機の横から心の中で挨拶をして、気付かれないようにそっと頭を下げる麻由子であった。


飲み会は予想もしないことが起こったりすることもある。今夜の飲み会は何が起こるのだろうか。


絶対に失敗をしませんように。

失態を見せませんように。

嫌われることが起きませんように。


航平の姿が見えなくなるまでひたすら祈った。航平は神でも仏でもない、麻由子と同じただの人間なのに。



仕事終了後、約束の時間に麻由子と千尋はロビーに行く。


「あれ?まだ来ていないね」


航平と楠本の姿はなかった。麻由子は何となくホッとした。少し緊張が解れた気がした。


待つこと15分…

「お待たせ!」


人を待たせたというのに悪びれる様子もなく、元気良く楠本が現れた。

「おっそーい!」

千尋が楠本を睨む。
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