臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
飲み会の場所は会社と最寄り駅中間にある居酒屋で、徒歩5分くらいのところにあった。そこは営業課でも総務課でも利用することの多い店だ。


半個室になっている6人用のテーブル席に案内されて、麻由子の前に航平が座った。


(どうしよう。前、見れない。顔なんて上げれないよ)


緊張で俯く麻由子を千尋が肘でつつく。


「ちょっと…顔を上げなよ」

「う、うん…」


何とか顔を上げるものの…前を向かないで、隣りの千尋を見た。


「こら!あたしを見て、どうするのよ!」


千尋が小声で怒る。千尋に怒られ、チラッと航平に目を向ける。


ドッキーン!


航平と目が合い、麻由子の心臓は飛び跳ねた。

航平は優しく微笑んだ。

「君たち3人は同期なんだって?そんな集まりに俺が入ってしまって、ごめんね」
< 28 / 255 >

この作品をシェア

pagetop