臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
笑いながらも謝る航平に麻由子は恐縮した。


「い、いえ…そんな、全然大丈夫です」


麻由子の心臓はドキドキしていて、全然大丈夫ではないけれど。

その後はさすが営業マンと言える巧みな会話を航平と楠本が広げ、楽しい飲み会になっていた。

麻由子も一言二言と少しではあるけど、会話に参加出来ていた。


「私、ちょっとお手洗い…」

千尋が立つと、「俺も行く!」と楠本も立った。


残された麻由子は俯きながら、飲んでいたチューハイを空ける。

二人だけにされるなんて…どうしたらいい?

どこを見たらいいか分からなくて、空になったグラスを眺めた。


「あ、お代わりする?同じのでいいのかな?」

「あ、ありがとうございます。はい。お願いします」


航平は自分の生ビールと麻由子のレモンチューハイを追加オーダーした。
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