臆病な恋心～オフィスで甘く守られて～

「付き合ってと言われて、断る理由もなかったから…いいかなとオーケーしただけ」

「そうなんだ、でも、昨日は一緒に帰ったんだよね？」

「帰ったというか、あれからホテルに行ったよ」


千尋は平然と答え、焼きビーフンを取り分ける。麻由子は取り分けてもらった小皿を受け取ろうと伸ばした手を止めて、目を丸くする。


「え？ホテルに行ったの？」


顔色を変えない千尋の変わりに麻由子が赤くなる。


「そこで、な、何をしたの？」

「何言ってるのよ、麻由子ったら。男と女がホテルに行ったら、やることは１つに決まっているじゃないのよ」


航平が言っていた甘い夜を過ごしたらしい。航平の予想は大当たりだ。付き合うと決めたその日にホテル…という経緯は麻由子にしたら思いもよらないことで、信じられないことだった