臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「私、これ食べた~い」


さっきまでクールだった千尋が楠本に甘えた声を出す。何だかんだ言っても、楠本のことが好きなんだと見ていてはっきり分かる。

楠本は今まで以上に千尋を愛しい目で見ている。


(やっぱり私はお邪魔だ)


麻由子は追加オーダーをしたところでカバンから財布を取り出す。


「私、見たいドラマがあったのを思い出したから、これで帰るね。これ、私の分。足りなかったら、あとで請求して」


財布から五千円札を出して、千尋に渡す。


「麻由子、ありがとう。気をつけて帰ってね」

「そうそう!速水さん、明日の夜に戻ってくるから、明後日の朝は会えるはずだよ」


楠本からの航平情報に感謝して、麻由子は1人家に帰った。
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