臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「昨日、出張から戻ってきたら、だらしのない顔で報告してくれたよ。良かったよね!」

「はい。千尋も嬉しそうにしてます」


速水がニッコリ笑うから、麻由子も少しぎこちないながらも笑顔を見せる。心臓はドキドキを通りすぎて、ドクンドクンと大きく波を打っている。

なんとか会話出来ている。このあと、何を話そう。まだまだ話していたい。


「お!速水、おはよう」


二人の間に営業課長が入ってきた。


「課長、おはようございます」

「今日は10時に出るんでいいんだよな?」

「はい。お願いします」


航平は課長と今日の業務の確認をしながら、エレベーターの方へと歩く。

取り残された麻由子はどうしたらいいものかとただ眺めていた。一緒にエレベーターに乗ろうかと…。
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