臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
天気の話で満足する女は麻由子くらいだろう。


「いいの?って…取られると言われても…私の物じゃないし」

「じゃあ、速水さんが誰かと付き合っても平気なの?」

「だって、それは速水さんが決めることだし…」


誰かと付き合うなんて、考えただけでかなりのショックで平気なわけがない。会社に行きたくなくなるだろう。

だけど、今以上に積極的になれそうもない麻由子は諦めモードである。他の女に取られるのをただ見ているしかなくなる。

それでいいの?


「とにかく、もう少し話の幅を広げるの!麻由子にだって、彼女になれるチャンスはあるのだから。他の女と差をつけるようにまずしないと!」


千尋は鼻息を荒くしながら、力説した。

彼女になれる?この私が?

麻由子は航平の彼女になったら…と想像してみる。
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