臆病な恋心～オフィスで甘く守られて～

「夕方、戻るらしいから、その時に話をしたら？頑張れよ」


夕方…朝以外に話をしたことのない麻由子には夕方話そうという気持ちは起こらなかった。まして、部署が違うのだから、話せる機会は少ない。

営業課に行く用事はない。

今日は話をするどころか顔さえも見れずに終わってしまうかもしれない。心はどんより曇ってしまった。


しかし、チャンスは突然やってくる。

夕方、航平が総務課に顔を出したのである。


「斉藤さん、いますか？」


麻由子は突然現れた航平を見て、固まった。


そんな麻由子は千尋は横目で見ながら…


「斉藤さんは今週、有給休暇中です」

斉藤さん不在を伝える。


「じゃあ、斉藤さんの代わりは誰がやっているのかな？」

「チケットの手配ですか？」


「うん」と航平は頷く。