臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
「でも、買えないかもしれないから期待しないでね」

「はい」


「悪いです」と言いながらも、「期待しないで」と言われても…期待しないわけがない。


お土産だなんて、嬉しい!

心は浮かれてしまうのである。


翌日の午後、航平がチケットを取りに来たが、休んでいた担当者が出勤していたので、麻由子が関わることはなかった。

何か話し掛けてくれないかなと少しばかりの期待をしたけど、航平は急いでいるせいもあり、受け取るだけであっさりと出ていった。

以前の麻由子なら朝以外に姿が見られたら、大喜びしていたものだったが、話が出来なかったことで落ち込む。欲張りになってきている証拠である。


「欲張りかなー」

「そんなことないわよ。今まで欲がなさすぎたのよ。それが普通なんだからね」


千尋は今までよりも積極的になってきている麻由子を見て、さらに頑張れ!と応援する。
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