臆病な恋心~オフィスで甘く守られて~
知りたい
冷たい風が吹くある朝…

電車から降りた麻由子はふらふら~とホームのベンチに座り込んでしまった。額には冷や汗が浮かんでいる。


どうしよう…力が出ない。


昨夜、テレビを見ていた時、くしゃみを連発した。
風邪を引いたのかもしれないと思い、早く寝たのだけど、今朝起きると体が怠かった。

熱は測ったが、36.8℃で大丈夫だろうと出勤してきた。だけど、電車内の空気が悪かったこともあり、悪化してしまったらしく、とうとう座り込む羽目に。

カバンを膝の上に置き、頭を抱えるようにして下を向いていた。   


「大丈夫?」


優しい声が麻由子の頭上からした。

怠くて重い頭だが、誰だろう?と上げる。心配そうに覗きこむ航平の顔があった。

目が合い、心臓が跳ねる。


「は、速水さん?」

「どうしたの?具合悪い?少し顔が赤いね。熱があるのかな?」
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